2010/08/23

施工例12

高低差がある土地というのは、外構のプランで非常に頭を悩ませます。
駐車場のレイアウト如何によって、大きく全体像が変わる上、高低差のある土地はコンクリート土留め工事や掘削残土処分工事が費用の大きな部分を占めるため、お施主様のニーズをしっかり把握した上で慎重にプランを進めていきます。

今回ご紹介の施工例は、お施主様と何度も意見を交わしながら、理想的な外構の間取りを実現しました。









ご覧のように今回の外構では、高低差がある土地にも関わらず土留めがございません。庭との境は芝生の法面(のりめん)処理。駐車場奥方向は急勾配のスロープにして、玄関階段を長くとりました。





駐車場は通常、2%~4%程度の勾配で設計します。(奥行き5mの場合2%で10cmの勾配。4%で20cmの勾配)。それ以上きつくなると、冬場に滑りやすくなりますし、逆に緩やかだと雨水がコンクリートの上を流れずに水溜りが出来てしまいます。ですので、普段使用する2台分のスペースは通常の勾配で作り、来客等で車が増えた際に、自分達の車を奥に入れられるようにとの配慮で作られています。

アプローチ階段は踏み面の長さを30cmで作るのが一般的ですが、駐車場スロープに合わせるように踏み面を60cmとり、長くゆったりとした設計です。ベビーカーを引いて階段を降りることも出来ます。


また、その他にもいろいろな配慮がなされています。



駐車場に一番近い位置にキッチンの窓があるため、目隠しを兼ねてシンボルツリーのヤマボウシを植えました。窓の半分くらいにかかる程度なので、圧迫感も少なく、気持ちの良い枝ぶりを眺められます。




カーポートの屋根素材には「熱線遮断ポリカ」という太陽の紫外線を更にカットするポリカを採用。カーポートの下に入ると真夏でも涼しさを感じます。



車庫の間を一直線に突き抜けるアプローチは、カーペットを彷彿させます。駐車場の間口確保のために既存間知石の解体、歩車道ブロックの切り下げ工事(道路法24条申請工事)など、細部まで寸法を検討して決めていただきました。



実は計画当初は2台分の駐車場と、バイクが通るためのスロープ、という条件で設計し始めました。が、いろいろと考えていく中で、細いスロープを中途半端に作るより、いっそのこと車も停まるようにと発想を転換することによって、土留めの必要がなくなり、さほど金額の変更がなく、2台分の駐車場が5台分に一気に拡がりました!
この成功の要因は何といっても、お施主様が建物着工前からいち早く外構の重要性に気付き、熱心に検討を重ねて頂いたためだと思います。建物の深基礎や駐車場の適正勾配をよくご理解された上で、私にいろいろなアイデアを提案してくれました。

その他にも写真には写っていませんが、将来200V電源を引けるようにと入れた空配管や、検針しやすい量水器の位置など、お施主様の細やかな考案から実に無駄の無い外構レイアウトが出来上がりました。

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